店舗ご紹介
このたびは玉泉堂印房(ぎょくせんどういんぼう)のホームページにお越しいただき誠にありがとうございます。玉泉堂印房は神奈川県横須賀市の中心部横須賀中央駅から徒歩3分ほどの場所にある印章専門の老舗です。『良いものをできるだけお求め安く』をモットーに、お客様のニーズにお応えしつつ品質に妥協を許さない商品作りを心がけております。伝統的な手彫りの技術を持った職人が字入れから仕上げまで一貫して製作いたします。
玉泉堂印房
神奈川県横須賀市若松町3-7
TEL 046-822−2663
社団法人全日本印章業協会 会員
全日本印章業組合連合会
神奈川県印章業組合加盟店 14-H-122
通商産業省登録
象牙製品取扱事業者(特別国際種事業者登録) 第01117号
印章専門店として
古くからこの地で店舗を構えている当店は、代々手彫りの技術を持つ職人が引き継いできた印章専門店です。時代の移り変わりと共に、その店構えや取扱商品などは刻々と様変わりしてきましたが、印章彫刻の専門店であるという本質はいつも変わらず受け継がれてきました。
印章といえば昔は職人が手で彫るしかなく、小さな印面に手書きの文字を裏向きに写し、最初から最後まで印刀で彫り上げていました。これがいわゆる手彫りの技術です。現在でも印章彫刻の訓練を受ける人はこの技術を学び、印章彫刻技能士の資格を得るには手彫りの技能検定をパスしなければなりません。つまり印章彫刻技能士であるということは手彫りの技術を持っているということです。
しかし、印章彫刻は資格がなければ行ってはならないというものではなく、誰でも印鑑を売ることができます。とはいえ、全くの素人に手彫りの作業が簡単にできるはずもなく、三文判を除き、昔は、はんこ屋さんとは訓練を受けた職人がいなければできない商売でした。
印章店の変化
そこに時代の流れと共に、彫刻ロボットと呼ばれる機械が登場しました。これは非常に画期的な変化でした。今まで手間と時間のかかっていた荒彫りなどの作業時間を大幅に短縮してくれます。多くの印章店がこのロボットを導入し、機械に任せるところは機械に、手で作業すべきところは手で、それぞれの良いところを活かして効率良く印鑑を作ることができるようになりました。
ところがこのロボットは急速に進化し、さらにはコンピューターの進化とも融合し、とうとう誰でもはんこ屋さんの商売ができるほどの機械が作られるようになりました。この機械を導入すれば、もう職人がいなくても印鑑を作って売ることができます。つまり、効率化したい作業だけを機械に任せるのではなく、ほとんどすべての作業を機械ができるようになってしまったのです。
すると、手彫りなどの技術をもたないような印章店が全国に多数できていきました。それと同時に、印鑑の値下げが起きました。ネットショップの増加と共にその価格競争は急速に激しさを増し、いまやインターネット上では、職人が目を疑うような価格で印章が売買されています。
印鑑を売るとは
やがて当店のような手彫り世代から受け継がれている印章専門店も価格の値下げを余儀なくされました。インターネットで安価な商品を見たお客様に「おたくは高い」と言われた事もありました。確かにすべてを機械に任せてしまえば安くする事も可能です。また、お客様の中には、印章を買う時に、彫刻技術ではなく、象牙や黒水牛などの印材に注目する方も多くいらっしゃいます。それならば彫刻を機械に任せて、できるだけ価格を下げた方が多くのお客様に喜ばれるのでしょうか…。この時は、当店も店舗経営の方向性に悩み、どうする事がお客様にご満足いただけるという事なのか、考え続けました。
しかし、昔ながらの職人にとって機械にすべて任せるということは、非常に抵抗がありました。なぜなら、それはまるで三文判と同じものを作っているような感覚になり、出来上がった印鑑に満足感が得られません。我々職人は代々印影を売り、彫刻の技術を売ってきました。印鑑を売るという事は印影を売るということに他なりません。唯一無二であり鮮明な印影を長持ちさせるには、機械だけではなく人の手を加える。これを捨てる事は、容易ではないのです。しかし、自己満足のための製品作りでは、必ずしもお客様にご満足いただけるとは限らないのも事実です。技術よりも価格を優先すべきか、伝統技術を守るべきか・・・この論議は昔ながらの業界内でも大きな波乱の渦を巻き、いまだにその答えは出ていないように思います。
お客様の選択
自問自答を繰り返す中、現在当店が行き着いているのが「手仕上げ」の工法です。これは、機械化が始まった初期の頃と同等の製作方法です。つまり、最低限、印鑑としての品質を下げなくて済むところにだけ機械を使います。そして、印影が唯一無二であり鮮明で長持ちする事、押しやすい事など、印鑑の品質を保つために、人の手でなくてはできない部分には、職人自身が満足できるだけの手間をかける、というスタイルに落ち着いたのです。
お客様の中にも、知識をお持ちで我々の仕事を良く理解してくださる方も大勢いらっしゃいます。店頭で様々ななご要望を承ったり、お客様との会話の中で、そのお客様をイメージする印影が浮かんでくる事もあります。
やがて、そのようなお客様にお褒めの言葉をいただけることが、本当の意味でのやりがいへと繋がっていきました。色々なお客様がいらっしゃいます。お客様が選択すれば良いのだということに気づきました。当店は、昔ながらの職人が納得できる、印鑑としての品質の良いものを売れば良い。そして、機械も部分的に使いながらできる限り価格を抑えられるよう努力しつつ、対価としての技術料はいただく…そうやって職人としてのプライドを捨てないことが当店のあり方だというように思えるようになりました。
まだまだ時代の流れによる変化は続くのかもしれません。しかし、印鑑のもつ意味と役割だけは忘れず、少しでもお客様にご満足いただける商品作りに心がけて行きたいと考えております。どうぞ他店とお比べください。ご納得いただいた上でお買い求めいただきたいと思います。また、お客様よりお寄せいただいたご批判やご要望に耳を傾け、今後もさらにより良い商品作りに精進してまいりたいと思います。 (2009年10月1日 店主)